ランニングしながら筋肥大は可能か?ハイブリッドアスリートを目指す為の科学的根拠を解説

2026.02.18 | まとめ

「バルクアップ(筋肥大)したいなら、走るな」
「ランニングは筋肉を分解するからやめるべきだ」

ジムに通うトレーニーなら一度は耳にしたことがあるこの定説。
しかし、あなたはこう思っていませんか?

「筋肉はつけたいけれど、体脂肪は落としたい」
「スタミナもつけたいし、心肺機能も高めたい」

結論から言えば、ランニングをしながら筋肥大を達成することは「可能」です。
実際に、ラグビー選手やクロスフィットのアスリートを見れば、
高い持久力と巨大な筋肉が共存できることは明白です。

しかし、無計画に走れば確実に筋肉は萎みます。
鍵を握るのは、相反する2つのシグナルを管理する
「コンカレント・トレーニング(同時並行訓練)」の戦略です。

この記事では、科学的根拠に基づき、ランニングのメリットを享受しつつ、
筋肉を確実に大きくするための「5つの鉄則」と「具体的なスケジュール」を徹底解説します。

ハイブリッドアスリート 筋肥大 ランニング

なぜ「走ると筋肉が落ちる」と言われるのか?

まず敵を知りましょう。ランニングが筋肥大を阻害する現象は、
専門用語で「干渉効果(Interference Effect)」と呼ばれます。

細胞内で起こる「スイッチの奪い合い」

筋肉の細胞内には、主に2つの正反対のシグナル伝達経路が存在します。

科学的なジレンマは、「AMPK(ランニングのスイッチ)が活性化すると、
mTOR(筋肥大のスイッチ)を抑制してしまう」という点にあります。

つまり、激しいランニング直後は、身体が「省エネモード」になり、
筋肉を大きくするプロセスを強制停止させてしまうのです。

しかし、この「干渉」は絶対的なものではありません。
適切な「時間」「栄養」で管理すれば、両立は可能です。

ランニング×筋肥大を成功させる「5つの鉄則」

干渉効果を最小限に抑え、筋肉を守りながら走るための具体的なルールです。

鉄則①:セッションの間隔を「6時間以上」空ける

これが最も重要です。筋トレとランニングを連続して行うと干渉効果が最大化します。

鉄則②:同日に行うなら「筋トレが先」

どうしても同じセッションで行う必要がある場合は、
必ず「筋トレ → ランニング」の順序を守ってください。

ランニングを先に行うと、筋グリコーゲン(エネルギー源)が枯渇し、
筋トレの出力(重量×回数)が低下します。

筋肥大の最大の要因は「メカニカルストレス(高重量)」なので、
フレッシュな状態でウェイトを挙げることが最優先です。

鉄則③:魔の「中強度(ゾーン3)」を避ける

ダラダラと苦しいペースで長く走るのが最悪です。
コルチゾール(ストレスホルモン)が分泌され、筋分解が進みます。

鉄則④:オーバーカロリー(食事)を徹底する

「走る=カロリー消費」です。
筋肥大には「消費カロリー < 摂取カロリー」の余剰エネルギーが必須です。
ランニングで300kcal消費したなら、食事でその分を「上乗せ」して補給しなければなりません。

走っているのに食べない、これが筋肉が落ちる最大の原因です。
特に炭水化物(カーボ)を恐れずに摂取し、常に筋肉にグリコーゲンを満たしておく必要があります。

鉄則⑤:脚のトレーニング日とランニングを離す

脚の筋トレ(スクワットやレッグプレス)の翌日にハードなランニングを入れると、
回復が追いつかず、怪我やオーバートレーニングの原因になります。
脚の日の翌日は完全休養か、上半身のトレーニングに充てるのが賢明です。

【実践編】筋肥大を止めない週間スケジュール例

あなたのライフスタイルに合わせて選べる2つのパターンを紹介します。

パターンA:週4日トレーニング(分離型・推奨)

最も干渉効果が少ない理想的なプランです。

曜日午前 / 午後内容ポイント
筋トレ胸・背中・腕上半身の日
ランニング低強度ジョグ 30分疲労抜きラン(ゾーン2)
休息完全オフ栄養摂取に集中
筋トレ脚・肩・腹筋下半身の日
休息完全オフ脚の回復優先
筋トレ全身(コンパウンド種目)強度高め
ランニングインターバル走 or 坂道ダッシュ心肺機能強化

パターンB:週3日トレーニング(週末集中型)

忙しい社会人向け。同日に行う場合の最適解です。

曜日内容ポイント
休息
筋トレ(上半身)→ 直後に 有酸素(20分)有酸素は短めに抑える
休息
筋トレ(下半身)ランニングはしない(脚の保護)
休息
午前:ランニング(長め)有酸素能力の維持・向上
筋トレ(全身)週の締めくくり

栄養戦略:プロテインだけでは足りない

ランニングと筋肥大を両立させる「ハイブリッドアスリート」にとって、
真の鍵はプロテインではなく「炭水化物」です。

結論:「ハイブリッドアスリート」は誰でもなれる!

「ランニングしながら筋肥大」は、決して不可能なミッションではありません。
むしろ、適度なランニングによる心肺機能の向上は、
筋トレ中のインターバル回復を早め、より高ボリュームなトレーニングを可能にするという相乗効果も期待できます。

重要なのは、「やみくもに走らないこと」です。

  1. 6時間の間隔を空ける
  2. 消費した以上に食べる
  3. 疲労管理を徹底する

この3つを守れば、引き締まった体幹、尽きないスタミナ、
そして逞しい筋肉のすべてを手に入れることができます。

今日から、ただのランナーでも、ただのトレーニーでもない、
最強のハイブリッドアスリートを目指してトレーニング、ランニングのスケジュールを見直してみましょう。

【Q&A】ランニング×筋肥大に関する「よくある質問」

Q1. どうしても「同じ時間」にやるなら、どっちが先ですか?

A. 迷わず「筋トレが先」です。 

ランニングを先にすると、筋肉を動かすエネルギー(筋グリコーゲン)が枯渇し、また精神的にも疲労した状態でバーベルを握ることになります。
これでは高重量を扱えず、筋肥大に必要な「物理的刺激」が弱くなってしまいます。
「筋トレで成長ホルモンを出し、その後の有酸素で脂肪を燃やす」という順序が、
ホルモン分泌の観点からも脂肪燃焼の観点からも正解です。

Q2. 脚トレ(スクワット等)の翌日に走ってもいいですか?

A. 「積極的休養(アクティブレスト)」程度ならOKですが、追い込むのはNGです。 
激しい筋肉痛がある中で走ると、フォームが崩れて膝や股関節を痛めるリスクが高まります。
また、筋肉の修復(超回復)に必要なリソースがランニングに使われてしまい、
脚の筋肥大が停滞する可能性があります。
脚トレの翌日は、ウォーキングや軽いバイク漕ぎで血流を促す程度に留めるのが、
賢い「ハイブリッドアスリート」の選択です。

Q3. ランニングで「脚を太くする」ことはできますか?

A. 「短距離ダッシュ」なら可能性はありますが、長距離では難しいです。
 マラソンランナーの脚が細く、競輪選手やスプリンターの脚が太いことからも分かる通り、
筋肉を大きくするのは「瞬発的な高負荷」です。
もし走ることで脚を太くしたいなら、平地を長く走るのではなく、
「坂道ダッシュ」や「100mスプリント」を取り入れ、速筋繊維を刺激することをおすすめします。

Q4. プロテインの量は変えるべきですか?

A. はい、通常よりも「多め」に摂取してください。 
ランニングによるエネルギー消費と、着地衝撃による赤血球の破壊(溶血)などを考慮すると、
身体の修復にはより多くのアミノ酸が必要です。
通常の筋トレのみなら「体重×1.5〜2g」が目安ですが、
ランニングも並行する場合は「体重×2.0〜2.5g」を目安に摂取し、カタボリック(筋分解)を徹底的に防ぎましょう。

Q5. 結局、有酸素運動は何分までなら筋肉に影響しませんか?

A. 「週3回、各30〜40分以内」が安全圏と言われています。 
2012年のメタ分析(Wilson et al.)によると、有酸素運動の頻度と時間が長くなるほど、
筋肥大効果は減少することが示されています。
筋肥大を最優先にするなら、有酸素運動は「1回30分以内」に留め、
長時間走るよりも「短時間で心拍数を上げる」効率的なアプローチを意識してください。

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